針生検

マンモグラフィーから3日後に針生検の予約が取れた。
ほとんどのがんの場合、確定診断を下すには組織を採取して病理検査(顕微鏡で細胞を観察)を行う必要がある。
乳がんでは、超音波のガイドで針(直径3、4 mmくらい)を刺し、腫瘍の組織片を切り取る。
まずは技師が超音波で場所を確認。
今度は私も腫瘍の影がはっきりと確認できた。

処置を行うドクターが慌ただしく入ってきた。
真っ赤なワンピース姿で現れ、ちょっと度肝を抜かれる。
ドレス姿で生検用の器具を持つ姿はちょっとマッドサイエンティストっぽくもある。
針を挿入する場所を決め、麻酔を打つ。
針が侵入する様子が超音波に映る。
ガチャッ!ガチャッ!
採取するときの音がすごい。
痛みが全くないのが不思議なくらいだった。
計4カ所を採取して終了。

ドクター "Not bad, ha?"
私 "Not at all."
ドクターとの会話はこれくらいしか覚えていない。
生検を終えたドクターは嵐のように去って行ってしまった。
おそらく予定があったところに無理矢理、予約を入れてしまったのだろうか。
アメリカではサービス業に多くを期待しなくなった私もさすがに
もうちょっと愛想よくてもいいんじゃない、と思ってしまった。

初診からちょうど一週間後、主治医から電話がきた。

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# by varoko | 2017-01-04 11:34 | 乳がん

ごめんね

かかりつけ医のオフィスから乳がん専門の放射線科へ。
まずはマンモグラフィー。
5月の健康診断の後、すぐに来ていたら...
と悶々としながら順番を待つ。
後悔先に立たず。

その後超音波検査を受ける。
画面がちょうど影になってしまって見えない。
淡々と何かを計測しているのがわかる。
検査が終わり、ラウンジで待つように言われる。

放射線科医とさっきの技師が二人でやってきた。
二人とも明らかに悪いニュースを持ってきました、という顔をしている。
(いや、そんな申し訳なさそうな顔しなくても大丈夫だから)
こっちの方が申し訳なくなってくる。

放射線科医「残念ながら、腫瘍が見つかりました。」
私「悪性ですか?良性ですか?」
放射線科医「生検を受けてからでないと確定はできません。」

腫瘍には悪性と良性がある。
一般に「がん」と言われるのは悪性腫瘍のこと。
良性と言われることは正直、全く期待していなかった。
別に本当に聞きたいわけでもなかった。
申し訳なさそうな顔をされて、こちらも何か聞かなきゃ申し訳ない気になったのだろう。
乳がんケアコーディネーターを紹介され、生検の予約を取るように言われる。
それが終わるまで確定診断はでない。

「大丈夫?一人で歩けますか?」
帰ろうとする背後から声がかかった。
(みんな、そんなに大丈夫じゃないものなのかな?
泣き崩れたり、立てなかったりする人もいるのかな?)
そんなことを考えながら「私は大丈夫です。」と言って部屋を出た。
私がイメージしていたがんの告知(正確にはまだだが)とは明らかに違っていた。
二人の顔を見て一瞬心臓がトクンとした以外、ものすごく静かだった。
覚悟していたから?
ショックすぎて感情がシャットアウトされたから?
鈍感すぎるから?
次に考えていたのは夫にどう伝えよう?だった。

車に乗り込むとすぐ電話を手にした。
何も考えず口にしたことばは
「I'm sorry」だった。
おそらく、ほとんどのがん患者が家族にいうことばなんじゃないかと思う。
「がんになっちゃってごめんね。」
がん患者になってはじめて気がついたのは、本人よりも家族の方がよっぽど辛い思いをする、ということだ。
がんよりも何よりも家族にこの事実を伝えなければならないこと。
これが一番辛い。
この時夫は幸いにも冷静に受け止めてくれた。
ちょっとホッとした。

もうすぐ今年が終わる。
せっかくだからここで今年の謝り収めにしよう。

「がんになっちゃってごめん。来年は絶対元気になるからね!」


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# by varoko | 2016-12-31 12:07 | 乳がん

初回診療

私のかかりつけ医はベトナム系アメリカ人の女医さん。
年の頃も同じで外国人医師に感じる壁は小さい。
ものすごくバイタリティあふれる彼女は、いつも笑顔で迎え入れてくれる。

診察室に入って待っていると相変わらず元気な声でドクターが入ってきた。
「で、今日はどうしたの?」
先月、右胸の上方にしこりを見つけたことを説明した。
問診が始まる。
おかしな話だが、英語での問診は普段の会話よりストレスがない。
医療関係の文献の翻訳をしているため、テクニカルターム(専門用語)には慣れている。
まず最初に聞かれたのは家族に乳がん患者がいるかどうかだった。
乳がんでは遺伝が大きなリスクファクターとなる。
私の知る限り家族、親戚に乳がん患者はいない。

一通りの問診の後、診察台に上がる。
触診するドクターの顔が一瞬曇るのがわかった。
アメリカに来て言葉が不自由な分、人の表情や声の調子やらに敏感になっているらしい。

(あ、間違いない)

心の中でつぶやいた。

診療が終わり、すぐにマンモグラフィーと超音波検査を受けるように言われた。
アメリカでは日本と違い、同じ病院ですべてを済ませることはできない。
気の遠くなるような数々の手順が必要になる。
専門医に診てもらうためにはかかりつけ医の紹介がいる。
どんな症状であっても基本的にはかかりつけ医に会うのがはじめの第一歩となる。
検査もまたそれぞれ専門の検査機関があって、検査ごとに新たに予約を取って違う施設に行く必要がある。
今回は、緊急ということでその場で当日の予約をねじ入れてもらった。
場所は幸いなことに目と鼻の先。

検査に向かう。

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# by varoko | 2016-12-29 00:03 | 乳がん

告知前

乳がんと告知されたのは今年の8月。
先日、6クールの化学療法を終えた。
ブログにすべきか悩んだが、自分自身の記録としてレトロスペクティブ&現在進行形で残しておこうと思う。
アメリカでの乳がん治療を知りたい人にもちょっと役立つ?かもしれないし。

あれ?っと思ったのは7月。
5月に定期健診をしたばかりなので「まさか」というのが第一印象。
乳がんはがんの中でも進行が遅く、1 cmの大きさになるのに1年かかるとも言われている。
定期健診ではドクターの触診もあったし、自分でも触診したのを覚えている。
たった2ヶ月でこんなにもはっきり違和感を感じるのは乳がん以外の何かだと信じた(かった)。
健診でマンモグラフィーのオーダーがあったが、忙しくて後回しにしていた。
当時、長女に必ず行くように言われていたにもかかわらず。
自慢じゃないが私の胸は小学生並み。
自分の中では一番縁のないがんだと勝手に思っていた。
アメリカでは乳がんのリスク評価ツール(通称ゲールモデル)というのがある。
https://www.cancer.gov/bcrisktool/ (国立がん研究所ホームページ内)
これによると5年以内に乳がんが発生する確率は1.5%だった。

にしても、しこりは日に日に顕著になっていく。
いろいろなホームページで乳がんを検索する。
自分の中である時ふと、これは乳がんだと確信した。
心臓が大きく鳴った。
おそらく後にも先にもこの時が一番動揺した瞬間だったと思う。
かかりつけ医にアポを取った。
ここまで、夫には何ひとつ伝えていなかった。
確定診断が出るまで伝えないでおこうと決めていた。
結果が出るまで落ち着かないであろう夫を見ていたくなかった。
そっちの方が私には辛い。
自分の中では90%の確信があった。
10%の(良性との)淡い期待がないわけでもなかったが。
アポを取った時は早く白黒はっきりつけたい、それだけだった。
意外に冷静な自分にちょっと呆れる。

8月初め、ドクターを訪れた。



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# by varoko | 2016-12-27 23:41 | 乳がん

太陽を通過する金星

本物を見ることができなかったのでNASAのビデオでチェック。

a0118608_22291510.jpg

[写真:www.nasa.gov]

金星の通過よりも太陽の迫力に圧倒されてしまいました。
これは天体ショーというよりアートですね。
NASAお見事!
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# by varoko | 2012-06-06 22:31 | 雑学

アメリカに住む4人娘ママのねえ、ちょっと聞いてな話


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